液体金属ジェット技術

ExcillumのMetalJet X線源シリーズは当社独自の液体金属ジェット技術に基づいています。MetalJetは、従来のどのマイクロフォーカスX線源よりも高輝度かつ微小であり、格段に明るい微小ビームを実現します。その結果、放射光施設レベルの性能をラボで達成することができます。

液体金属ジェット技術により高解像度を維持したまま画像取り込みスピードが向上し、より正確で高精度の分析を可能にすると同時に高いスループットを実現できます。特に直径約5 µmから数十µmという微小焦点X線管のスポットサイズでは、液体金属ジェットアノードをベースとするX線源の方が、従来の固体アノードX線源よりも格段に高い性能を発揮します。

液体金属ジェットのコンセプト

MetalJet X線管は、従来の固体金属アノードの代わりに液体金属ジェットを用いた微小焦点管です。MetalJetではターゲット材料が初めから溶解していることによりアノードが連続的に再生されます。そのため、アノードの電子ビームによる損傷に基づくX線管の出力限界を考慮する必要がありません。液体金属ジェットはより高い電子ビーム出力に対応できるため、より高密度のX線フラックスを発生させることができます。

固体アノード

液体金属ジェットアノード

金属ジェット技術の内面図

固体アノード vs. 液体金属ジェット
Excillum MetalJetの内部

出力負荷能力

 

全ての電子衝突型X線発生装置によるX線出力 は、アノードの熱出力負荷によって制限されます。 従来の固体アノード技術では、損傷を避けるため にアノードの表面温度を融点よりも十分に低くし なければなりません。これは基本的にアノードで あるターゲット材料の特性、主に融点と熱伝導率 によって制限されます。

一方、液体金属アノードであるMetalJetでは、タ ーゲットを融点より十分に低い温度に維持しな ければならないという制約が解消されます。これ は、ターゲット材料が初めから溶解しており、ま た液体ジェットの性質上、ターゲットが常に再生 しているためです。新鮮なターゲット材料は100 m/sに近い速度で供給されます。アノードが連続的に再生されているので、電子ビームとアノードの相互作用は、実際に破壊的にまでなり得るのです。

並外れた輝度

 

直観的には少々理解しにくいですが、小焦点X線 管の出力負荷能力は、電子ビームの焦点面積で はなく、ほぼその直径によって規定されます。従って、輝度は光源の直径に反比例します。

並外れた出力負荷能力と微小な電子ビーム焦点 の組み合わせにより、液体ジェットを用いたX線 源は、ミクロンオーダーのスポットサイズで、これ までにない輝度を達成することができるのです。

液体金属のX線スペクトル

 

第一世代のMetalJet源は、およそ室温で液化する金 属合金を特徴とします。それにもかかわらず、いくつ かの合金は通常の固体アノードと類似したエミッシ ョン特性を示します。今後のアップグレードには、融 点がさらに高い合金も含まれる可能性があります。

ガリウム合金

ガリウム(Ga)リッチ合金が利用可能です。この合金 の9.2 keV(1.3Å)Kα線は、銅(Cu)のKα線に近接して います。

インジウム合金

インジウム(In)リッチ合金も利用可能です。この合金 の24 keV(0.51Å)Kα線は、銀(Ag)のKα線に近くなりま す。

スポット品質

高度な電磁集束および補正光学系と高輝度 LaB カソードの組み合わせにより、高品質な電子ビーム集束が実現します。連続的に生成され
る滑らかな液体ターゲット表面と共に、線源はきわめて高品質なX線スポットを生成します。

線源の安定性

線源の空間安定性は非常に高い値を示します。 以下の画像は、線源に機械的に結合されたピン ホールカメラで撮影したとき、スポット中心位置 が24時間にわたって標準偏差約 0.1 μm 以内で あることを示しています。

 

調整可能なサイズ

スポットサイズとアスペクト比はどちらも自由に 調整できます。

MetalJet製品

MetalJet E1 160 kV

MetalJet D2+ 70kV

MetalJet D2+ 160kV

MetalJet C2

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田中志穂, Ph.D.

Senior Scientist

MetalJetの用途分野

Spectroscopy and fluorescence

Imaging

Scattering and diffraction

カタログ

メタルジェット技術
ユーザーストーリ―

エキシルムのメタルジェットX線源のご利用例

最先端のX線源をご利用のお客様の体験談